2018年11月28日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」1300では
文化人類学者小川さやかの随想「タンザニアの気づいてもらえる仕組み」から、
次のことばが取り上げられています。
気づかれないように親切にしたり、助けを求
めなくても気づいてもらえるような仕組みが
商売を通じて自然に築かれていく・・・・・
調査のためにタンザニアで長屋暮らしをした文化人類学者は、客と行商人の間で
お金を媒介として思いやりが行き交う姿を懐かしんで、このように記しているそう
です。
そういえばかつては日本でも、近所の馴染み客と個人経営の小さな商店の店主や
従事者の間にも、このような関係があったことを思い出します。
米屋や酒屋が御用聞きに行って注文を取るばかりではなく、それとはなしにその家
の住人の安否を気遣ったり、八百屋や魚屋が来店したお馴染みさんに、その家の
家族の構成や健康状態に適した品を勧めたり、また時にはサービスで余分に
おまけの品物を客に渡したり・・・
そのような関係を通して、庶民の生活が成り立っていたと記憶します。
今日ではコンビニが年中無休で日用品を供給し、スーパーに行けば豊富な取り
揃えの中から自由に商品が選べますが、逆に客と店との間の濃密な人間関係は、
すっかり失われてしまいました。そこには少し寂しさもあります。
私たちの三浦清商店は白生地を販売しているので、今や日用とは縁遠い商品を
扱っていることになりますが、個人商店の端くれとして、出来る範囲でお客さまに
寄り添う商いを心がけています。
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