2021年3月20日土曜日
ユヴァル・ノア・ハラリ著「サピエンス全史㊤」を読んで
人類史を歴史的記述のみならず、著者独自の構想によって、イマジネーション、スケール
豊かに読み解く大著です。念願叶い読むことが出来ました。
さて実際に読み始めると、本書の根幹をなすと思われる記述が、第1部「認知革命」に
すでに登場します。つまり、我々ホモサピエンスの祖先が、並み居る原人たちを淘汰して、
地球上の人類の主役に躍り出た理由を解説する場面で、著者がサピエンスが他の人類種
より優れていた部分は、後には国家や国民、企業や法律、人権や平等をまでも信奉するに
至る、「虚構」というものを信じることが出来たからであると、語ってるところです。
初期のサピエンスは、他より並外れて知能が優れているか、腕力に勝っている訳ではあり
ませんでした。しかし彼らは、ある時目の前にある現実だけではなく、仲間やその中での
掟を信じることが出来る想像力を獲得したのです。
これによって彼らは、集団的に敵に対抗し、組織立って生存のための課題に対処する術を
身に付けました。それが今日のサピエンスの発展につながっているのです。この部分を
読んで私は、我々人類の地球上での繁栄の要因として、おぼろげながら感じたことに、
お墨付きを与えられたような感覚に囚われました。つまり、恐らくそうであろうと感じて
いても、系統立てて説明出来ないことに、明確な筋道を与えられた感覚です。
またそれと同時に、このサピエンス発展の要因の説明は、私に新たな感慨を生じさせま
した。それは彼らが、各地に数多生存していた他の人類種を駆逐しながら同化もして行っ
たという事実の記述で、集団行動の利点という知恵を身に付けながら、残虐な野生の本能
にも忠実であったことを知ったからです。
今日残っている神話的記述から、私たちが人間の本性として読み解けるもの、あるいは、
一見理性的に振舞っているように見える、現代人の心の底になお留まるものについて、
改めて考えさせられました。
「虚構」を信じる力は、第2部で取り上げられる「農業革命」にも生かされます。つまり
サピエンスは、食料供給の安定と定住を求めて、農耕を始めます。それは人口増加をもた
らし、村社会の形成を促進させますが、同時に、今まで以上の勤勉さを求められ、飢饉
などの災厄のリスクを負うことになります。
より豊かな生活を夢見る人類の共同幻想が、「農業革命」を生み出す原動力になりますが、
それ以前の狩猟採集生活の方がある意味生活の質も高く、生きるためのストレスも少な
かったという事実が、アンチテーゼとして浮かび上がって来ます。
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